義務化されたBCP策定のメリット

令和3年の介護報酬改定の1番の注目は、全ての事業所にBCP策定が義務化されたことです。BCP策定にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、一番のメリットは当然ですが、緊急時においての迅速な対応が可能になるということです。いままで、災害や感染症などが発生してから慌てて対策を講じていたところを、あらかじめ準備された計画に沿って行動するだけになるので、多くの時間と体力を節約することができます。それによって経済面の損失や無駄なストレスを出さずに済みますし、何より介護施設では、入居者さんの安全を確保しやすくなります

また、緊急事態に起こるであろうトラブルや不都合をあらかじめ洗い出すことで、事業所全体の弱い部分に気が付くことができるというメリットもあります。例えば、チーム機能のマヒは有事の際に発生しがちな問題です。稼働可能な職員の確保と、チーム間の連携が上手くいかず、少人数の職員が入居者さんの安全確保、他の組織との交渉、謝罪など全てを請け負わざるを得ない状況が頻繁に発生します。

こうなることをあらかじめ想定していれば、連絡手段や職員全体で情報を共有する方法、交通機関が滞ったときに人手を確保する手段などが確立されているかを見極めることができます。

緊急事態時以外でも、BCP策定を行っていることで入居者さんや関係者から信頼を得ることができというメリットがあります。有事の際に機能がストップし、安全を確保してもらえない施設を利用したいとは、普通は思いません。そして何かがあったときに対応できずに取引が滞ったり、倒産したりしてしまう可能性のある事業所と関係を持ちたい人は少ないでしょう。